2025.09.01
借地権付き建物の売却について
土地上に建物を建築する場合、土地に関する権利を有している必要があります。
この「土地に関する権利」が何であるかによって
建物を売却する際の手続きに違いが生じます。
特に土地に関する権利が所有権ではなく「借地権」の場合
売却の際に地主さんの承諾が必要となるケースがあるので要注意です。
今回は借地権付きの建物を売却する際の注意点を解説します。
借地権付き建物とは
借地権付き建物とは建物所有者が土地の所有権を有しておらず
代わりに土地の所有者から「借地権」の設定を受けている建物のことです。
借地権は法的には「賃借権」と「地上権」に分かれます。
賃借権は債権であるのに対して地上権は物権であるため地上権の方が強力な権利と解されます。
借地権付き建物を売却する場合、売却によって土地の所有者との関係で
トラブルが生じないかを確認しなければなりません。
売却に関する地主さんの承諾
①賃借権の場合には地主さんの承諾が必要
借地権が「賃借権」の場合には借地権付き建物の売却には地主さんの承諾が必要です。
借地権付き建物の場合、建物所有者は「地主さんから土地を借りている」立場にあります。
仮に建物所有者が第三者に借地権付き建物を譲渡した場合
当該第三者もやはり「土地を借りている」立場に立つことになるのですが
その際の法的整理は以下のいずれかとなります。
1つ目は「地主さん→(旧)建物所有者→第三者」という形で第三者が土地を転借しているという整理です。
しかし賃借人((旧)建物所有者)が土地を転貸する際には賃貸人(地主さん)の承諾が必要となります。
2つ目は(旧)建物所有者から賃借権の譲渡を受けることにより
「地主→第三者」という形で第三者が地主さんから直接土地を借りるという整理です。
しかし賃借権の譲渡についても、やはり賃貸人(地主さん)の承諾が必要とされています(同)。
このように、どちらの整理とする場合でも、借地権付き建物を取得する第三者は
土地の賃借権(または転借権)の取得に関して地主さんの承諾を得なければなりません。
②地上権の場合には地主さんの承諾は不要
これに対して借地権が「地上権」の場合には借地権付き建物の
売却の際に地主さんの承諾を得る必要はありません。
地上権は物権であるため地上権者が自由に処分できるものとされています。
そのため賃借権の場合とは異なり他人のためにさらに地上権を設定する場合や
地上権を第三者に譲渡する場合に地主さん(地上権設定者)の承諾を得る必要はないです。
地主さんの承諾が得られない場合の対処法
①買主様にアピールする
地主さんの懸念するポイントは主に借地権付き建物を取得した第三者が
地代を滞納するリスクと当該第三者が隣人などとの間でトラブルを起こすリスクの2点です。
これらの懸念点は借地権付き建物を取得する第三者が地主さんからの信頼を得られればいずれも解消されます。
そのため借地権付き建物の売主様は買主様の収入・資産・人柄などを地主さんに伝えて
「買主様が地代を滞納する可能性は低く、かつトラブルを起こすような人ではない」ことを
アピールすることが考えられます。
買主様が信頼できることをうまく地主さんに伝えられれば地主さんも
借地権付き建物の売却を承諾してくれる可能性があります。
②承諾料の支払いを提案する
承諾料の支払いを提案することも一つの解決方法です。
承諾料の支払いが行われれば前述の地主さんにとってのリスク
を実質的に補填することに繋がるので地主さんとしても
借地権付き建物の売却を承諾しやすくなります。
承諾料の金額は交渉次第ですが借地権価格の10%程度が相場のようです。
③地主さんに建物を買い取ってもらう
借地権付き建物を第三者に売却することを地主さんが認めないならば
地主さんに建物を買い取ってもらうことも考えられます。
地主さんとしては、その後建物を誰に貸すかを自分で選べますし
土地・建物を一体的に活用できるようになるので
取引のメリットを感じてもらえる可能性があります。
なお借地権の存続期間が満了するタイミングでは
契約の更新がないことを条件として賃借人が地主さんに
建物を買い取るよう請求する権利を有します。
借地権付き建物の売却が借地権の存続期間満了のタイミングに
重なることはなかなかありませんが念のため覚えておいてください。
④地主さんに底地権を売ってもらう
賃借人側から地主さんに対して底地権を自らに
譲渡してもらうよう提案する方法も考えられます。
地主さんがそろそろ底地権を手放したいと考えている場合には
このような提案は「渡りに船」になります。
賃借人の側としても土地・建物を一体的に売却または賃貸できるようになるため
より多くの売却代金や賃料を得られるようになるメリットがあります。
ただし地主さんから底地権を取得する際にまとまった金銭が必要となるため
資金調達の目処を立てられるケースに限ります。
まとめ
借地権付き建物を売却する際には
まず借地権の種類を確認したうえで種類に応じた対応をとる必要があります。
そのため、まずは不動産会社に相談して契約書等を確認してもらい
その後の対処法についてアドバイスを受けることをオススメします。
借地権付き建物の売却をご検討している方は是非当社にご相談ください。
当社では不動産売買を検討しているお客様にとって、お役立ち情報を随時更新していきます。
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