2025.09.22
隣地の生垣・植木が邪魔な場合の対処法
隣家の生垣や植木の越境などが発生し、ご自身が所有する土地や建物の
利用に支障が生じている場合には、何らかの対処が必要となります。
自分で切ってしまってよいのか、それとも隣人に切除を依頼すべきなのか
対処法に迷っている方もいらっしゃるかと思います。
今回は隣地の生垣・植木が邪魔な場合の対処法について解説します。
生垣や植木に関するよくあるトラブル
1.生垣や植木が越境している
生垣や植木は自然に生育するため所有者の意図しないうちに
隣地の敷地内まで延びてきてしまう場合があります。
少々の越境であれば直ちに実害が生じるケースは少ないです。
しかし越境の程度が進行してしまうと土地や建物の利用に支障を来してしまいます。
たとえば葉がたくさん隣地に落ちるようになり
隣地所有者の側に落ち葉処理の負担が発生する場合があります。
また固い枝が越境した場合、隣家の窓などを傷つけてしまう可能性もあります。
2.日照が遮られてしまう
大規模な生垣を構築したり、高い木を植えたりした場合
隣家との間で日照に関するトラブルが生じる恐れがあります。
過去の裁判例から、人格権の一内容として「日照権」が認められており
他人に日照を不当に遮ることは不法行為に該当する可能性があります。
もちろん自分が所有する土地の中で生垣や植木を管理することは
土地に対する所有権の一環として、基本的には認められるべきです。
しかし隣家の日照を過度に制限するような形で生垣や植木を設置した場合
隣家から日照権侵害の責任を追及される可能性があります。
隣地の生垣・植木は勝手に切っても良いか
隣家の生垣・植木を邪魔に感じた場合、それを勝手に切ってしまっても良いのか。
この点、生垣・植木が越境しているかどうか、さらに越境している部分が
枝なのか根なのかによって、以下のとおり結論が異なります。
・枝が越境している
生垣や植木の枝が越境している場合について、民法は以下のルールを定めています。
竹木の枝の切除及び根の切取り
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
上記のとおり、越境している枝については所有者に「枝を切除させることができる」にとどまります。
したがって隣家に枝を切ってもらうように求めることはできますが
ご自身で枝を切ってしまうことは原則として認められません。
ただし後述するように、ご自身やご家族などの生命・身体、また建物などの
財産に対して危害が及ぶおそれがある場合には
正当防衛として枝の切除が認められる余地があります。
・根が越境している
一方、根が越境している場合については、民法は以下のルールを定めています。
竹木の枝の切除及び根の切取り
隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
根の越境の場合、上記のとおり「根を切り取ることができる」と規定されています。
つまりご自身で根を切ってしまうことができるというものです。
ただし根を自ら切ることが認められるとしても、隣家とのトラブルを未然に防ぐため
基本的には事前に話し合いで解決することが望ましいです。
・越境していない場合の取り扱い
越境していない生垣や植木については、たとえ邪魔に感じられるとしても
ご自身で切ってしまうことは認められません。
もし勝手に生垣や植木を切ってしまうと、隣家から損害賠償を請求されたり
器物損壊罪に問われたりするおそれがあるので要注意です。
なお越境が発生していない場合でも、生垣や植木による日照権侵害が発生している場合には
裁判手続きを通じて損害賠償や除去を請求できる場合があります。
まとめ
生垣や植木の越境等に関するトラブルについては
民法上のルールを踏まえつつ話し合いで解決するのが望ましいです。
隣家の生垣・植木を邪魔だとお感じの方は
一度不動産会社や弁護士に相談することもご検討ください。
当社では不動産売買を検討しているお客様にとって、お役立ち情報を随時更新していきます。
郡山市の不動産売却、不動産購入は、えんどう不動産株式会社へお任せください。