2025.06.23
「既存不適格」建築物とは、違法建築物との違いについて
法改正により建築したときには適法だったはずの不動産が「既存不適格」になっているというケースがあります。
不動産売却がしにくいともいわれる「既存不適格」とは具体的にはどんな不動産で
売却においてはどんな点に注意したらよいのか。
またコンプライアンスの意識も高まるなか「違法建築物」との違いについても解説します。
「既存不適格」建築物とは
「既存不適格」は建築基準法などの法律の改正や新設によって以前は
適法だったけれど基準に適合しなくなってしまった不動産のことです。
建築基準法以外にも都市計画法や条例などでも同様です。
日本で「建築基準法」が施行されたのは昭和25年でした。
以来、時代とともに法令は度々変更されていますが
建築基準法などを遵守できていないと建築物を建てる建築許可は下りません。
しかし建築時点では適法だった不動産を現行の法律にあわせて
その都度、建て替えたりすることはできません。
建築基準法でも法制定の前からあった不動産に当該規定は適用しないとされ
違法とは区別して「既存不適格」が存在しています。
このような背景もあり不動産売却を検討している人にとっても
「既存不適格」は知っておきたい情報のひとつとなっています。
売却を考えている方にとって自分の不動産が該当するか気になるところかと思います。
事例を参考にみていきます。
例えば容積率が超えてしまっているケースです。
このケースの背景には1970年ごろに容積率が指定されると周知されていたことがあります。
これにより当時駆け込みで着工や申請をした不動産が多くあり
それらが「既存不適格」になっているようです。
1971年に容積率の規定が施行され、その後も見直しによっても対象とされる不動産は出ています。
また1950年に建築基準法が施行されていますが
それより前に建築された不動産のなかにも該当するケースがあります。
それが接道義務を満たしていないケースです。
建築基準法により道路に敷地が2メートル以上接していなければ建築できないという規定を
クリアしていない場合も、「既存不適格」です。
「既存不適格」の不動産を売却するときには売主様が留意したいポイントがいくつかあります。
まず不動産取引では売買する双方が納得できることが売却につながります。
そのため仲介する不動産会社を含め購入するお客様にも「既存不適格」であることを伝えて売却してください。
売却後のトラブルを回避し売却活動中に不動産会社からの
サポートを十分に受けるためにも伏せずに伝えておくことが大切です。
また同じような条件の物件よりも売却価格が安くなる傾向があることや
値引き交渉をされやすい可能性があります。
しかし「既存不適格」だからと安易に値引きをしてしまうのは注意点で
さらに強く交渉されてしまいかねません。
相場をもとに少し安い売却価格に値付けしておくことは売却のための策になり得ますが
値引きはできるだけ避け、どうしても売れないときの最後の手としておくことが賢明です。
違法建築物とは
「既存不適格」は法に反している「違法建築物」と別物です。
あくまでも改正などにより法律に適合しなくなったのが「既存不適格」で
建築されたときには法に適合していた点などに違いがあります。
一方「違法建築物」は、そもそも建築基準法や都市計画法などの規定に違反しているものを指します。
「違法建築物」の不動産は様々な点で影響があり売却はさらに困難です。
安全性の面でも法律の基準に反していることで事故や危険につながる可能性もあります。
都道府県知事や市町村長は「違法建築物」の所有者や建築主、工事の請負人などに対して
建築物の除却や移転、改築や修繕、使用の禁止や制限などを求めることができます。
「違法建築物」を設計した者や工事監理者らも業務停止処分や免許の取消など厳しい措置を受けます。
そればかりか「違法建築物」と知らず取得してしまった買主様も違反についての是正命令を受ける対象となります。
行政代執行の可能性がある不動産は買主様の損失も甚大であり「既存不適格」との違いは大きいです。
そんな「違法建築物」も、ここ20年ほどで減っています。
金融機関の融資は法に適合している不動産に対してのみで
「違法建築物」は買主様の住宅ローンの借入ができないからです。
このような理由から売却がより難しいのです。
違法建築物についても、いくつか具体的なケースをみていきます。
たとえば敷地に対する延べ床面積の割合となる「容積率」については
駐車場をあとから居室にするケースがあります。
駐車場は通常の延床面積の1/5以内なら容積率の床面積にはカウントされません。
そこで建築確認申請と完了検査合格までの間に駐車場としていたところを居室や店舗にするのです。
また建築確認申請書にあった内容で建物を建設し入居してから
用途地域に反する使用をするケースも「違法建築物」の一例です。
他にも道路に2メートル以上接していない敷地の建築物に大規模な工事をおこなってしまい
結果的に「既存不適格」から「違法建築物」になってしまったケースなどもありますから
故意でなくても注意しておきたいものです。
「既存不適格」の売却時の注意点
最後に不動産売却での注意点も確認しておきます。
「既存不適格」は売却が難しい一面をもっています。
その理由はいくつか解説します。
ひとつは購入後に買主様が増築や建て替えをしたいと考えても制限が出てくる可能性があるためです。
「既存不適格」を増築やリフォームするときは現行の法律の基準をクリアしなくてはなりません。
場合によっては工事の費用が高額になってしまうケースや土地の利用も
制限があって自由にリフォームできないというケースがあります。
中古物件を安く入手して好みの住まいに変えていきたいと計画している場合などは
魅力が低く感じられてしまい売れにくくなるのです。
また築年数を経て老朽化が進んでいる物件が多いことも売却の難しさに通じています。
これは該当する法改正が1960年代など古い年代におこなわれた背景があるためです。
購買層からすると築年数を経ていると劣化している可能性も気になります。
このような理由から売却においての難しさがあることは踏まえておきたい注意点です。
「違法建築物」のところでも触れたように住宅ローンは
法に適合していることが審査に影響すると考えられます。
検査済証交付済みであっても場合によっては金融機関が難しい反応を示すこともあります。
たとえば容積率がオーバーしている場合などです。
多くの買主様は住宅ローンを利用することが予想されるため、これも注意点となります。
まとめ
今回は郡山市で不動産の売買を検討している方に向けて
「既存不適格」の基礎知識や「違法建築物」との違いなどをご紹介しました。
あくまでも建築当時に法に適合しているところが違法建築物との違いですが
売却の難しさは共通するハードルといえます。
売却を検討される際はパートナーである不動産会社にも是非ご相談ください。
当社では不動産売買を検討しているお客様にとって、お役立ち情報を随時更新していきます。
郡山市の不動産売却、不動産購入は、えんどう不動産株式会社へお任せください。