2025.06.16
不動産売却の手続きを代理人に頼めるのか、委任時の注意点について
一般的に不動産を売却する時は、売主様・買主様・不動産会社の担当者の三者が立ち会い、売買契約を結びます。
しかし時には売主様本人が売買契約の場に伺うことが難しいケースがあります。
そんな時は代理人を立てて売買契約を結んでもいいのか。
今回は郡山市で不動産売却における代理の可否や手続きのポイント・注意点などをご紹介します。
不動産売却で代理人を立てることはできる
結論からいうと、売主様が不動産売却時に代理人を立てて手続きを進めることは可能です。
たとえば郡山市にある実家を売却したいけれど売主様は
現在北海道に住んでいるためなかなか現地まで足を運べない…など
売主様の居住地と売却予定の不動産がある場所までの距離が遠い場合があります。
また売主様自身が海外に住んでいて売買契約時に合わせて帰国することが難しいケースも考えられます。
そうした場合は代理人を立てて売却手続きを進める方が合理的です。
仕事や家庭の事情など何らかの理由があってなかなかスケジュールを合わせにくい方もいらっしゃいます。
また売主様自身が病気やケガで入院していて売買契約当日に外出できないケースもあります。
そのような場合は無理して都合をつけるより代理人を立てる方が売主様の負担を軽くできます。
また親が亡くなった後、兄弟全員の共有名義で実家や土地などの不動産を相続した場合
その不動産を売却するには名義人全員の同意+立ち会いが必要です。
しかし名義人が多ければ多いほど全員の都合を合わせることが難しくなり、なかなか手続きが進められません。
このようなケースでは名義人全員から依頼を受けた代理人を
立てることでスムーズに手続きを進めることができます。
なお共有名義の不動産を売却するケースには離婚を機に夫婦共有名義の自宅を手離すケースもあります。
離婚成立までに不動産売却が完了していない場合、離婚後も手続きの際に顔を会わさなければならず
そのことがストレスになる方もいらっしゃいます。
そのため「離婚を機に夫婦共有名義の自宅を売却することになったけれど手続きのために夫(または妻)と
顔を会わせるのは避けたい」という方は代理人に依頼することを検討してみても良いかもしれません。
必要な書類と代理人ができること
不動産売却の手続きを代理人にお願いする行為を委任といいますが委任を口約束だけで済ませるのは不十分です。
そのため売主様が代理人に不動産売却を委任する時はその旨を示す書類を作成しなければなりません。
この書類を「委任状」といいます。
委任状は、「売主が確かにこの方へ不動産売却の手続きをお願いした」ことを明確に証明する役割を持ちます。
もし委任状がなければ、いくら代理人が売主から依頼を受けたと主張しても
証拠がないため買主様から詐欺ではないかと疑われてしまう可能性が高まります。
ですが委任状を作成して提示すると売主様が正式に代理人へ不動産売却の手続きを
依頼したことが証明され、買主様も安心して取引に望めます。
そして委任状は「代理人が売主からどの程度の権限を与えられているのか」を示す役割も持っています。
不動産売却において売主様が判断を迫られる項目は多々ありますが
その中のどこまでを代理人に委任しているのかが分からなければ手続きを進めることはできません。
委任状を作成する際は、次のポイントに注意しながら作成してください。
(1)不動産売却の委任であることを示す文言
(2)売却する不動産の情報(所在地・建物構造・面積・所有者氏名・住所など)
(3)売却条件(売却価格・手付金・契約キャンセル時の違約金・物件引渡し日など)
(4)売主様が代理人に委任する範囲や権限
(不動産会社との媒介契約・売買契約の締結・各種代金の受領・所有権移転登記・物件引渡しなど)
(5)代理人独自で判断せず売主様に相談のうえ決定したい事項(なければこの項目は不要)
(6)委任状の有効期限
(7)売主様(委任者)の氏名・住所の記載および署名・実印での捺印
(8)代理人の氏名・住所の記載および署名・実印での捺印
※委任状以外に売主様と代理人が用意すべき書類
・売主様の実印
・売主様の住民票および印鑑証明書(いずれも委任日から3ヶ月以内に発行したもの)
・代理人の本人確認書類
・代理人の住民票および印鑑証明書(いずれも委任日から3ヶ月以内に発行したもの)
不動産売買契約時は売買契約書以外にも登記済権利証や固定資産税評価書など必要な書類が複数あります。
売主様は契約当日までにそれらの書類も用意しなければなりませんが
遠方に住んでいたり入院中だったりなど事情があってご自分で用意できない場合もあるかと思います。
そのようなケースでも代理人にお願いすると売主様の代わりに必要な書類の申請・取得が可能です。
各種書類を揃えるには時間がかかるため、どうしても都合が合わず、ご自分で用意することが難しい方は
代理人にお願いすることを検討してみてください。
代理人にお願いする時の注意点
代理人は単に売主様に代わって不動産売却を行う存在ではなく
代理人の行為は売主様が行った場合と同じ効力を持ちます。
たとえば売主様が望まないことでも代理人が許可するとその時点で売主様が許可したことと
同じ行為とみなされ、場合によっては重大なトラブルを引き起こしてしまうかもしれません。
そうしたリスクを回避するために代理人を選ぶ時は本当に売主様が信頼できる方にお願いしましょう。
売主様が信頼をおける関係の代表例としては、売主様の配偶者・親・子・兄弟などがいますが
親族の中で適任者がいなければ司法書士や弁護士などの専門家に依頼するケースもあります。
不動産売却の代理人を専門家に依頼する場合、相談を受けた専門家は
「本当にこの方がこの不動産の所有者で間違いないか」を確認します。
不動産は高額の取引である分、所有者本人になりすまして所有者が
知らないところで勝手に売買されてしまうケースが稀にあります。
そんな大問題が起きることを防ぐため不動産売却の代理人になってほしいと依頼を受けた専門家は
依頼者が本当の所有者であるかどうかの本人確認を行うのです。
専門家による本人確認方法は売主様の身分証明書・実印・印鑑証明書・戸籍事項証明書などの書類提出に加え
不動産売却の理由・過去に売主様が住んだことある場所など
売主様本人しか知り得ない情報の聞き取りがあります。
売主様が代理人に委任する範囲や権限を委任状に記載しないことを白紙委任といいます。
信頼できる相手に代理人を依頼したなら代理人独自で判断することと
売主様の同意確認が必要なことなどを細かく分けず全ての判断を任せたいと思うかもしれません。
しかし裏を返すと、白紙委任は売主様の承諾なく売主様に不利な条件で売買契約を結ぶことも可能です。
そうなれば契約後にトラブルが起きて売主様と買主様間だけでなく売主様と代理人の間でも揉めてしまいます。
そんなトラブルをわざと引き起こすような相手に代理を頼むことはないはずですが
白紙委任は範囲や権限を決めている委任より問題が起きやすいため絶対にやめてください。
不動産売却時、代理人が認められている範囲や権限を超える事項が起きると
代理人は一度売主様に確認を取らなければいけません。
代理人による売主様への確認は都度行われ、時には急ぎで確認が必要なこともあります。
そのため売主様は代理人からいつ確認の連絡が来てもいいように準備しておいてください。
まとめ
不動産売却は手続きの全てを売主様自身で行うことが望ましいですが
売主様の事情次第では代理人を立てて行っても問題ありません。
ただし代理人をお願いするのは本当に信頼できる相手であること
どの程度売主様と同等の権限を持たせるのかなど注意するべき点が多くあります。
問題が起きると売主様と代理人の今後の関係性が崩れてしまいかねないため
不動産売却で代理人を立てる場合は慎重に検討してください。
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