私道に面した不動産を購入する際の注意点
道路には「公道」と「私道」があります。
郡山市にも公道と私道が混在している地域は意外と多いです。
私道は私有地であるため公道では発生しづらいトラブルが起こることがあります。
例えば他県では、ある日突然所有者が私道を封鎖して
近隣住民が通行できなくなり、訴訟にまで発展した例もあります。
そういったトラブルが起こり得る「私道に面した土地や建物」を購入する際は
特別な注意を払う必要がありますので今回解説していきます。
私道とは
「道路」とは、法律上は様々な場面で異なる内容を含む概念として使われる用語ですが
もっとも広い意味では一般公衆の交通のために提供される土地を指します。
この意味での「道路」は「公道」と「私道」に分かれます。
「公道」とは、国や地方自治体が一般の交通用につくる道路です。
「私道」とは、私人が私有地に持っている所有権などの権利に基づいて開設する道路です。
(ただし後述する建築基準法の接道義務との関係で公法の適用・規制を受ける場合があります。)
私道に面した不動産を購入する際の注意点
①接道義務の確認
私道に面した土地を購入する際に、まず注意を払うべきことは
私道があることで「接道義務」を満たしているか否かです。
接道義務とは都市計画区域内において
「建築物の敷地は、原則として幅員4メートル以上の道路に
2メートル以上接していなくてはならない」という
建築基準法上のルールのことです。
建物の敷地には生活のため、また火災・天災時の避難や
緊急車両の通行のための通路が不可欠だからです。
接道義務に違反している土地には、そのままでは新しい建物を
建てることはできませんので土地の価値としても非常に低いものとなります。
②2項道路について
ところで、我が国では建築基準法での規制(※昭和25年11月23日施行)がなされる前に
幅員4メートルに満たない道路にしか接道していない敷地に
多くの建物が立ち並んで建築されていました。
これらを全て違法建築とするわけにはいきませんから救済策として
「建物が、接道している道路の中心から2メートル以上離れているなら
その道路の幅員が4メートル未満であったとしても
接道義務をクリアしているとみなす」ことにしました(建築基準法42条2項)。
これが通称、「2項道路」とか「みなし道路」とか呼ばれるものです。
ある道路を「2項道路」とするか否かは市町村長または都道府県知事の指定によります。
これには公道と私道の区別はなく私道であっても「2項道路」として
指定を受ければ接道義務を果たしていることになります。
ただ、公道にせよ、私道にせよ、「2項道路」では、接道している道路の中心から
2メートルまでは、「道路」ということになるので
当然、その部分には建物を建てることはできないことに注意してください。
③位置指定を受けているかどうか
「2項道路」の場合を除くと私道に面した土地が接道義務を満たしているかどうかは
その私道が「位置指定」を受けているかどうかに関わります。
例えば造成地を分譲するときには、これまで何もなかった土地の上に
接道義務をクリアするための道路を作る必要が生じます。
しかし業者や土地所有者といった私人が幅員4メートル以上の私道を作っても
それだけでは接道義務を果たしたことにはなりません。
何故なら、ただ幅員を確保しただけでは道路としてきちんと機能するかどうかわからないからです。
そこで私人が作った私道が接道義務に適する道路と認められるためには
私道を作った人または作ろうとする人が申請を行い
法令の定める細かな基準(※)を満たすと認められたうえで
市町村長または都道府県知事による「道路位置指定」という
行政処分を受ける必要が有ります(建築基準法42条1項5号)。
この行政処分を受けて接道義務に適すると認められた私道を通称「位置指定道路」と呼んでいます。
私道が「位置指定道路」となったときには当然ですが
その上に建物を建築すること塀や門を道路上にせり出して設置することなどは禁止されます。
また「位置指定道路」は生活の便や防災などの観点から必要とされる道路ですから
指定を受けた以上、一般公衆も通行することができ私道の所有者が
勝手に通行を妨害したり通行を制限したりすることはできません。
④道路の種類を市役所で確認する
私道が「2項道路」や「位置指定道路」とされた場合に
私人が勝手に、その私道を廃止したり変更したりすることが
許されるならば、接道義務を果たさない敷地が生じてしまいます。
そこで市町村長または都道府県知事は「2項道路」や「位置指定道路」とされた
私道の廃止や変更を禁止、制限することができます(建築基準法45条1項)。
このように私道が「2項道路」や「位置指定道路」であるか否かは
私道に面する土地を購入する際に必ず確認するべき事項となります。
まとめ
今回は私道に面した不動産を購入する際の注意点について解説しました。
私道は上記以外にも水道管や通行地役権、持分の有無などトラブルの要素を
はらんだものがたくさんあるため慎重に目配りする必要があります。
私道に面した不動産の購入や売却をご検討している方は是非当社にご相談ください。
当社では不動産売買を検討しているお客様にとって、お役立ち情報を随時更新していきます。
郡山市の不動産売却、不動産購入は、えんどう不動産株式会社へお任せください。