2025.05.26
現状渡しとはどういう不動産売却方法なのか
不動産を売却する際、物件に何らかの瑕疵があれば売主様が
きれいに直して買主様へ引き渡すのが一般的です。
しかし時には「現状渡し」という方法で不動産を売却するケースもあります。
今回は郡山市で不動産売却を検討している方に向けて現状渡しについて解説します。
現状渡しとは
現状渡しとは物件に生じている瑕疵を売主様が補修修繕せずに
そのままの状態で買主様へ不動産を引き渡す売却方法のことです。
通常の不動産売却の場合、下記のような瑕疵が物件にあれば引き渡しまでに
売主様が補修修繕を行い、きれいな状態にしておきます。
・壁紙の剥がれ
・壁のヒビ
・給湯器の故障
・雨漏り
他にも該当する瑕疵はありますが、いずれもそのままの状態を放置していると
買主様からの印象が悪くなり、せっかくの売却のチャンスを逃してしまいます。
築年数や間取り、価格など、同じエリアで似たような条件の不動産が売りに出されている場合
競合物件の方が瑕疵も少なくきれいな状態であればほとんどの方は競合物件を選ぶでしょう。
しかし現状渡しは本来買主様が敬遠する瑕疵がある状態でも不動産を売却できる点が特徴です。
現状渡しは瑕疵がある状態で不動産を売却できるとは言っても
それと同時に売主様が買主様に対して負う責任から免れるわけではありません。
現状渡しでの不動産売却は、その物件にどんな瑕疵があるのかを買主様に伝え
買主様もそのことを承諾したうえで購入を決めてくれます。
そのため売主様としては買主様に対して負う責任がなくなってひと安心…と思うかもしれません。
しかし現状渡しの対象となる瑕疵はあくまで「目に見えている範囲のもの」であり、それ以外の瑕疵は対象外です。
仮に物件を引き渡し後、買主様が承諾していない瑕疵が発覚した場合は買主様は売主様へ責任を追及します。
不動産の売却を検討している時「瑕疵担保責任」という用語を見聞きしたことがある方は多いと思います。
瑕疵担保責任とは「買主様が注意深く確認しても見つけられず、かつ売主様も知らなかった
瑕疵が発覚した場合、売主様が買主様に対して負う責任」のことです。
現状渡しの瑕疵は買主様が承諾しているため、これまでは瑕疵担保責任の対象には含まれていませんでした。
しかし2020年4月、施行された改正後の民法の中に
「契約不適合責任」が登場したことで、売主様の責任の重さが増えることになりました。
契約不適合責任とは「引き渡す物件の内容が売買契約書に書かれている内容と一致していないことが発覚した場合
買主様が売主様に対して契約内容に適合するよう責任を求める権利が認められること」です。
契約不適合責任が瑕疵担保責任と大きく異なる点は「買主様が瑕疵の事実を知っていたか否かは関係ない点」です。
つまり契約不適合責任は現状渡しの対象である目に見える瑕疵でも
実際の瑕疵の程度が売買契約書の内容と違っていると売主様が責任を果たさなければなりません。
このように現状渡しは買主様が瑕疵のある不動産でもいいと承諾してくれたら売却できるものの
売主様が買主様に対して果たすべき責任まで免除されるわけではないという点にご注意ください。
現状渡しのメリット・デメリット
現状渡しによる不動産売却の1つ目のメリットは補修修繕費用がかからない点です。
通常の不動産売却は瑕疵を補修修繕してから売り出すため、その分の費用がかかります。
また不動産売却時に補修や修繕にかかった費用を上乗せして売り出す場合
上乗せ後の売り出し価格が相場より高くなってしまうと買い手がつきにくくなる可能性が否めません。
買い手がつかなければいずれ値下げせざるを得ず補修修繕費用の回収もできなくなってしまいます。
その点、現状渡しでの不動産売却は補修修繕費用がかからないため
余分な経費を上乗せせず売り出すことができて買い手を見つけやすくなります。
現状渡しによる不動産売却の2つ目のメリットは売却スケジュールを短縮しやすい点です。
通常の不動産売却のように瑕疵を補修修繕するとなると次の工程が発生します。
1.工事を請け負ってくれる業者探し
2.業者決定後の工事スケジュール調整
3.着工~工事完了
一見すると、そこまで大変そうには思えない工程かもしれません。
しかし業者探しに時間がかかる工事スケジュールがなかなか決まらない
着工後に遅れが生じるなどの問題が発生する可能性もあります。
瑕疵の補修や修繕が完了しない限りは売却活動を進められないため
そうなると不動産売却のスケジュールが予定より遅れることになります。
そして工事が完了するまでの間は購入希望者様がいても室内を見てもらえません。
購入希望者様は内覧することでイメージする暮らしに合うかどうかを判断しますが
内覧できないと実際の生活がイメージしづらく購入を見送る可能性があります。
一方、瑕疵の補修や修繕を行わない現状渡しは売却スケジュールに
補修修繕工事の期間を組み込む必要がなく、その分早めに売却活動を進められます。
購入希望者の内覧も案内しやすいため急ぎで不動産を売却したい事情があれば
現状渡しの方が良い選択となります。
現状渡しによる不動産売却のデメリットは相場より売り出し価格が安い点です。
前述したように購入希望者様の立場からすると同じエリアで似たような条件の競合物件の方が
瑕疵も少なくきれいな状態であれば、そちらを購入したいと思うのが自然です。
そのため現状渡しで売却する不動産が競合物件に勝つためには
相場より安い価格であることをアピールする方法が最も適しています。
トラブルが起きる可能性を低くするために
現状渡しの不動産売却は瑕疵を残した状態で売る分
あとで買主様との間にトラブルが起きる可能性も高い方法です。
そこで不動産売却時は以下のことを必ず実行してください。
(1)不動産会社には物件の現状を正直に伝える
現状渡しでの不動産売却を考えていることを必ず不動産会社の担当者に伝えてください。
物件の良い部分だけでなく悪い部分も正直に伝えることで、買主様との交渉時も適切にフォローしてもらえます。
むしろ悪い部分を伝えず隠す方が事実が発覚した時に問題になりやすいためオススメできません。
(2)物件状況報告書に記入する
物件状況等報告書(告知書ともいいます)とは、売却する物件にどんな瑕疵があるのか
過去のリフォーム履歴の有無耐震診断の有無などを記録する書類です。
物件状況等報告書に記載されている事項は、いずれも買主様に伝えないまま
不動産を売却するとトラブルになりやすい事項です。
買主様が承諾している瑕疵はもちろん売主様が忘れている事項がないように確認して記入してください。
まとめ
現状渡しは不動産売却の一つの方法ですが瑕疵を残したまま売り出す分、通常より不利な売却となります。
しかし不動産会社や買主様に瑕疵があることを正直に伝えること物件状況報告書もきちんと記載することなどの
対応をきちんと行えば、トラブルが起きる可能性を下げることが可能です。
郡山市で瑕疵がある不動産の売却をどうしようか悩んでいる方は是非参考にしてみてください。
当社では不動産売買を検討しているお客様にとって、お役立ち情報を随時更新していきます。
郡山市の不動産売却、不動産購入は、えんどう不動産株式会社へお任せください。